この愛を欺けるの

にっちもさっちもどうにもこうにもなんでもあり

岸優太くんと、’14~’17の〝ジャニーズJr.プラチナ期〟の話

 King&Prince、CDデビュー決定おめでとうございます。

 

 私はアイドルの結婚に対して本当にお祝いの気持ちしか湧かない人間だけど、それでも「CDデビュー」というどこか結婚にも似た変化には、大きな感動と一抹の切なさを感じるもの。特にここ数年のように、ジャニーズJr.という市場が活気あるタイミングだと、もう元には戻れないという微かな喪失感を伴う。

 彼らが大きな夢を勝ち取ったというのに、ファンは本当に身勝手だ。その身勝手さのせめてもの償いとして、それは身勝手であり、本来口を慎むべきことだと知っていなくてはならない。

 

 だからこれはアンポステッドレター。

 

 私がジャニーズJr.を見るようになったのは2014年頃だった。

 キスマイのファンとなって本格的に追っていくと、キスマイがことある毎にJr.時代の話をするのが気になった。もちろん知識としてジャニーズJr.という存在は知っていたけど、そのシーンを追ってみたことはない。今のままではキスマイの話していることを理解しきれないと思ったのが、少クラを見始めたきっかけだった。

 当時は「SHARK2」が放送されたばかりで、多くのJr.たちに活動の場が広く与えられていて、ちょうどジャニーズJr.というシーンが大きな盛り上がりを見せていた時期だった。

 そこにいるたくさんの少年たちを見て、最初、私は戸惑いを覚えた。

 まず人数が多すぎて、顔と名前を把握しきれなかった。キスマイのバックについていた子、キスマイの曲を歌った子、という具合で、自担との結びつきで少しずつ覚えていくしかない。なんだか勉強みたいだった。

 

 キスマイのJr.時代のことも同時進行で勉強していたので、キスマイの頃と比べて、同年代で活躍する子が多すぎるような印象も受けた。

 ほとんど全員が無所属(グループに所属していない)状態にも関わらず、たくさんの少年たちが活躍している様子は圧巻だった。核となるようなグループ(キスマイの頃でいうエビキス)がないことは、彼らの世界を自由にしていて、風通しの良い健やかな空気を感じた。それはそれで、面白かった。

 けど、彼らはあくまでも「デビュー」を目指している。それもおそらく、〝グループでのデビュー〟という強いイメージを持って。

 儚いものが美しいことは、残酷だ。西暦2014年のジャニーズJr.は、眩しいほど美しかった。たくさんの少年たちが、まだあらゆる可能性を残したまま、全員で一緒にひとつの世界を作っている。まさに可能性の塊だ。すべての夢の内包することを叶えた、奇跡の世界。ジャニーズJr.というひとつのグループみたいだと思った。

 そして、それが皮肉にも「デビュー」という彼らの夢によって終わることを、初めから知っていた。なんて残酷な世界だろう。その美しさに戸惑った。ショーとしてその場限りの娯楽に供するならまだしも、担当になって推すなんて、考えられなかった。

 現実には夢や希望よりも、絶望のほうが多いのだ。ジャニーズJr.はアイドルという夢の世界でありながら、現実の少年たちのリアルが透けて見えてしまう。夢の世界がすぐ近くに肉薄していることで、その残酷さが浮き彫りになって見えた。

 私にはそんなの耐えられないと思った。

 

 それでもジャニーズJr.をうっかり見続けてしまったのは、岸くんが居たからだと、今になって思う。

 少クラでどんなに大人数がごちゃごちゃと一緒に歌っていても、岸くんだけはすぐに見つけることが出来るようになった。そこから少しずつ他の子たちも覚えていったが、結局全員をハッキリ認識できるようになるまで1年以上かかった。覚えやすい子と、覚えにくい子がいた。

 この「覚えやすい子」というのがいわゆる「売れ線」なんだと後になって知ることになる。「推されてる子」と言ってもいい。

 岸くんは私にとって誰よりも一番圧倒的に「覚えやすい子」であり、顔が好きなのもあるけど、絶対に売れる子だと思った。事務所も推しているように見えたし、今になって言うのは結果論だけど、デビューすると思った。

 なにより岸くんのダンスが良いと思った。まだ歌声はちゃんと聴く機会が少なかったけど、その特徴的なダンスはファンの間でも「絶対岸くんってわかる」「岸くんだけ動き違う」などと半ばネタにされるぐらい有名だった。それだけ目立つ子だった。北山くんも褒めてた。

 

 2014年10月、もともとミュージカルが好きだった私は、せっかくジャニオタになったことだしと思い、Endless SHOCKを観に行った。キンキ担の先輩がチケットを取ってくれた。行きたいと思った頃には帝劇公演には間に合わず、博多まで遠征をした。

 初体験のSHOCKに感動しつつも、東京に帰ってきて、ひとつだけ心残りがあった。それは、帝劇公演には岸くんが出ていたということだった。ジャニーズJr.でまだ数少ない、思い入れを持って見ている子。その子を生で見てみたい、という思いが強くなっていた。

 翌年のSHOCKにも岸くんが出演することを聞いて、厚かましくも二度目のチケットを先輩にお願いした。心優しい先輩は快諾してくれたばかりか、私の誕生日の公演を当ててくれた。こうして2015年2月、私は初めて岸くんを生で見ることができたのだった。

 これが彼の出演する最後のSHOCKとなった。本当に行ってよかったと心底思っている。生で見る岸くんはまだショタっぽさが残っていて*1、光一くんにでろでろに可愛がられていて、カンパニーで最年少で、ダンスのキレと顔のキメがバッチリで、可憐でかっこいい理想的なアイドルだった。

 

 SHOCK観劇と並行する話になるが、私がジャニオタとして初めてリアルタイムで視聴したJr.ドラマは「お兄ちゃんガチャ」だった。

 原作のファンタジーな設定と野島伸司の独特な演出の相性はさることながら、子役の天才的な演技力によって成立する独自の世界観もさることながら。ガチャから出てきた、ファンタジーな存在たる「お兄ちゃん」の説得力を強固にしていたのは、岸くんのその圧倒的なビジュアルと自然な演技力だった。

 ほとんどのキャストを知らずに見るアイドルドラマを、難なく最後まで観てしまったのは、確実に岸くんのおかげだ。

 

 ドラマと現場、この2つの体験によって、私のジャニーズJr.を見る時の中心は岸くんとなった。Jr.という世界の入り口であり、私がたくさんの少年たちの中から自分で最初に選び取った子だった。

 ところで、もう1人、入り口となった人物がいる。茶封筒の天使こと、安井くんだ。安井くんは、キスマイを追っている中で避けては通れない人物である。だから自分で選び取ったというよりも、キスマイという物語の登場人物という認識だった。もちろん安井くんのことも真っ先に覚えたけれど、私にとって岸くんは安井くんとは違う大きな意味があった。

 

 ほどなくして、キンプリ=Mr.King vs Mr.Princeが結成された。岸くんはMr,Princeという少々の矛盾を感じる名前のグループとなり、かねてから「じぐいわ」と呼ばれ人気を博してきた超カップル売りシンメである岩橋くん・神宮寺くんと一緒になった。

 関西から廉くん・紫耀くんがやって来たのにも驚いた。メディア露出が多いのは知っていたけど、あくまで関西Jr.としてであり、しかも既に関西でユニットのあった彼らの東京Jr.との結成は予想外だった。

 彼らの推され方は凄まじく、当然デビューするものと思った。その年がバレーボールデビューの年であることも相まって、もうキンプリのデビューを誰も疑わなかったと思う。

 

 しかしその年、彼らはデビューしなかった。それどころか、誰一人としてデビューしないまま、気付けば最後のデビューから4年の月日が流れることになる。

 その間、いくつものグループ作られ、皆がみるみる成長し、洗練されていった。少年から青年へと姿を変えながら、蛹から蝶に羽を広げるように、瞬く間に力をつけた。歴や世代のさほど違わないグループが乱立し、年齢というタイムリミットと戦いながら背水の陣で戦う様相は、「戦国時代」と称されるようになった。

 この4年間の膠着状態、後から〝プラチナ期〟って呼ぶんじゃないかな。と思う。2014年に「第二黄金期」などとメディアでも話題になり、そのままグループ戦国時代になだれ込んで、膠着状態が続いた2017年まで。

 

 ’97~’99が黄金期なら、’14~’17がプラチナ期。こう言っちゃうと各方面から怒られそうだけど、黄金期とはまた違う種類の豪華さと、時代が下ったことによるスキル面のインフレ、まるでメンバーが固定されていたかのような安定感=膠着感を表現する適切な言葉が他に見つからない。ハロプロそんなに詳しくないのにすみません。

 この’14~’17年、ジャニーズJr.プラチナ期は、確かにデビューのなかった時期だけど、エビキスがトップだったいわゆる〝氷河期〟とは違う。誰がデビューしてもおかしくない逸材が揃っている。でも黄金期のように、完全にタレント化している人が居るわも、圧倒的な個人のスターがいるわけでもない。

 そんな、層が厚くて横一線の膠着状態。これは、無責任で勝手なファンからしたら、本当に面白い世界だった。たくさんのアイドルたちが、全力の熱量と戦略ですべての場面をアピールに使っていた。誰も一切手を抜かないで、死にもの狂いで戦っていた。

 しかも、黄金期に比べるとJrの平均年齢は確実に上がっている。安井くん(26)から永瀬廉くん(18)、Hi Hi JETさえもう17歳ぐらいだ(しかも彼らはキャリアが長い)。大人の言う通りにアイドルをやってる子どもとは違う。だからこそ、彼らの戦略や打ち出すものは、大人から見ても面白かった。どのグループも、必ずこちらを唸らせる一手を打ってくる。

 

 もちろん誰だって、自担のデビューを望んでる(例外はあるけど基本的にはそうだと思われる)。しかし事実、もう4年もこの〝プラチナ期〟のファンをやってしまったのだ。良くも悪くも、ファンである私たちはこの状況に順応してしまった。

 2018年1月17日、プラチナ期は終わった。King&Princeのデビューを以て、このプラチナ期の終わりが宣告されたのだ。

 デビュー決定に際して、複雑な心境を隠せない人の多くは(自担のデビューを心配したり、もう叶わない夢が忘れられなかったりする人もいると思うが、)このプラチナ期が崩れることへの不安が強いのではないか。

 だって、キンプリがデビューしようがしまいが、他の子の状況に変わりはない。自担がデビューする保証はないし、叶わない夢もあるのが、ジャニーズJr.だ。もともとそんなことは承知でファンをやっている。

 それなのに、キンプリのデビュー決定というタイミングで病んだり不安になったり、場合によってはキンプリやそのファンを罵倒したりするのは、あらゆる夢(客観的に叶う可能性の低い夢でさえ)を否定することなく内包していてくれる、この〝プラチナ期〟が好きだったからだ。

 

 そんな時代を打ち壊す役割を負った、King&Prince。

 その役目を負わせる準備として、ジャニーズJr.と言うとき、彼らを必ず筆頭に推してきたのかもしれない。それでも膠着状態に風穴を空けることは、誰かの希望であり誰かの絶望でもある。その難しさを、きっとキンプリ本人たちもひしひしと感じているのではないか。

 プラチナ期は競争が激しい一方で、本人たちの間に軋轢を生むような出来事はあまりなかった。会社側も、ファンや外部からのグループ同士を比較されないよう、意図的に横一線の扱いで運営してきたようにも見える。

 芸能の本来の厳しさ、この〝プラチナ期〟という夢の世界にはなかったシビアさが、デビューにはある。枠の取り合いというわけではない。恨むのはお門違いだ。でも、メディアや世間やファンによって、勝手に勝ち負けを決め、争わされてしまう。

 

 そしてデビューするということは、そういう厳しさの中でこれからずっと生きていくということだ。

 

 

 私は岸優太担なのか?と言われると、まだわからない。私は基本的に音楽担なので、音楽性がわからないと、どのぐらい推すか決められないのだ。だから今は担当じゃない。でも、ただの推しと呼ぶには余りある気持ちが、岸くんに対してはある。

 現時点でのファンの分布はまったくわからないし、そう大きく違いはないように思える。そしてデビュー後は、露出に応じてファンがそれぞれついていくだろう。けど岸くんは、ジャニーズのファンの掛け持ちや2推し層からファンを引っ張ってきて、それを自分のファンにする力を強く持っている子な気がするんだ。

 だから場合によっては、岸くんが圧倒的な一番人気になる可能性さえある。そんな気がします。

 

 これからの活躍に心から期待しています。

 そして、この美しくて儚いプラチナ期を、打ち破ってくれてありがとう。持続することのないまやかしの喜びから、私たちの目を覚ましてくれてありがとう。

 

*1:ジャニオタあるあるだが、ショタコンの気がある