この愛を欺けるの

応援スタンスや長文考察や好きなものの分析をするところ

いいかよく聞け、事務所担が少ないからってファンが少ないなんてことはないんだぞ

Kis-My-Ft2と飯島班について書くとキリがなくなりそうなのだけど、どうしてもこれだけは書いておきたい。

ジャニオタは往々にして、そのグループのファンの数を自分の周りのファン人数で体感的に計っている。その上でキスマイは「ファンが減っている」とか「ファンが少ない」と認定されがちである

しかし実際にはその感覚は間違っている。なぜならキスマイは2014年・2015年と二度のドームツアーを敢行しているし、オリコントータルセールスが年々上がっていることから考えても、全体としてファンが減ったとは考えにくい。そもそも実際のFC人数を事務所は把握しているので、実現できると踏んだからドームツアーを行っているに違いない。まさか赤字になるツアーなんてさせるはずがないからだ。

(ツアーチケットがネットで転売されているのは転売目的に購入する者が多いからで、そうした転売業者や転売目的の人に狙われることも人気のバロメーターでもある。またファンも度を超えて申し込んで被ったら売ればいいやという不届き者が多い。実際去年の名古屋追加公演1日目でも、開演後確認するとほとんど空席は見当たらなかった。それを差し引いても、ドームツアーのチケットが完売するということ自体が稀有なことである。)

 

ではなぜ、多くのジャニオタが「キスマイはファンが少ない」と考えてしまうのか?その理由のひとつに、キスマイファンに事務所担が少ないことが挙げられると思う。

ジャニオタは、その多くが掛け持ちやたくさんのグループを見た上で担当を決めた者であり、ジャニーズという文化そのものが好きで、担当でないグループの現場にも足を運んだりする。こうしたジャニーズ全体を好きな人が選ぶ担当は、ジャニオタの中では「多くのグループを見た上で選んだ、優秀な者」とされるのだろう。よってジャニオタは、事務所担の多さ=ファンの多さ=アイドルとしての優秀さ、とイコールで結びがちである。

更に、「そのグループや1人のアイドルだけが好きな非ジャニオタ」は、当然だがジャニオタや事務所担としてSNSをやらない。多くはジャニオタをSNSで公表していないし、一部が○○ファンとしてTwitterをやっている程度で、それでもジャニオタ存在するコミュニティが根本的に違うことが多い。すると、存在すらジャニオタの目にはつかないので、ほぼいないものとして扱われてしまっているのではないだろうか。

 

飯島さんという人の話をしよう。彼女は20年以上前にSMAPの担当マネとなって以来、ジャニーズの文化とは一線を画したやり方でSMAPを売ってきた。その最大の特徴は、まだアイドルが「かわいいだけで何もできない、実力のない人気商売」というイメージの強かった時代において、「SMAPはアイドルじゃない」というイメージ戦略を打ち出したことだ。

SMAPをアイドルではなくタレントにすることに尽力した飯島さんは、SMAPのブッキングについて「バーターを付けない」「後輩の冠・司会番組には出ない」「SMAP5人はなかなか揃わない(1人で十分にタレントである)」「スマスマに後輩は呼ばず、芸能界の先輩ばかりを呼ぶ」という高級路線を重視した。

だんだんとバーター解禁や後輩スマスマ解禁などで緩くなっていくのだが、こうした考え方で20年間やってきたということは、飯島さんはジャニーズの文化についてはほとんど知らないという状況がある。

 

2011年、飯島マネはキスマイという新しいグループを担当することとなる。それを決めた真意は今となっては全くわからないが、飯島さんにとって20年ぶりの新しいグループである。そして彼女はこの20年で築かれた「After SMAPのジャニーズ文化」を一切知らない。

ジャニーズ文化を知らない者の手によって、キスマイもやはりタレント化戦略が打ち出される。バラエティに売り込み、話題になるよう(という戦略だった以外に理由が思い付かない)格差という特徴を付けた。そしてSMAPという自分の育てた大物タレントのバーターにつけることで、効率的なタレント化を図ったのである。

ジャニーズ文化を知らないということは、2000年代以降のジャニーズJr.の状況やJr.黄金期・氷河期なんかも全く知らないわけで、当然デビュー前のキスマイのことだって恐らく全く知らなかっただろう。そもそも飯島さんの頭の中に「デビュー前に人気がある」なんて事態そのものが想定されていなかったに違いないと思う。

このように、これから売り出そうとしているタレントについて無知・無理解であるという点はやはり売り方にも影響して、ファンから鬼のように批判を浴びた。ただキスマイのファンはSMAPや飯島さんについては全く知らない人が多く、なぜ彼女がキスマイに対する理解が無いのかがわからないまま、「愛情が無い」「売り方が悪い」「エイベックスが悪い」などと呪詛のような批判を吐き出し続けているファンも未だにいる。

 

確かに、自分が担当して売り出そうというタレントについて無知であったことには非があるというのも頷ける。だが20年間もSMAPだけを担当していたことを考えれば、その間に形成されたジャニーズ文化をよく知らないことも仕方なかったようにも思う。事務所がキスマイを飯島さんに預けた時点で、そうなってしまうことは運命だったのだろう。

色々と可哀想なことはあったけれど、結果としてドームツアーが出来るまでになり、エイベックスでトップクラスの売り上げを出し、テレビでも同時期デビュー組と比べると大きな躍進をしている。何しろSMAPを生み出した手腕なのだ。結果は出している。よって、ここで飯島さんが悪いとか良いとか言うつもりはない。

 

ジャニーズ文化を知らない人によって売り出されるということは、ジャニーズ文化の中には無いものになってしまうことでもある。これは、ジャニ―ズ文化が好きなジャニオタ・事務所担からはウケない。ではなぜ、飯島さんは結果を出せたのか?デビューの時に変化を受け入れられず離れてしまったファンもたくさんいたはずだ。

それは、離れたファン以上に新たなファンを獲得したからに他ならない。これはもともとジャニオタでも事務所担でも他グループ担でもない、新たにジャニーズを好きになった人たちである。これまでジャニーズに興味が無かった人。あるいはSMAPのファンだ。SMAPのファンというのは、もともとジャニーズが好きな人ではないことが多い。これも飯島さんの戦略のもたらした結果である。

だから実際には多くのファンがいるにも関わらず、ジャニオタの体感的には「ファンが減った・少ない」という感じがするのだろう。しかしその感覚は間違いだ。結局ジャニーズのグループにとって難しいのは、ジャニオタを獲得することではなく一般のファンを獲得することだ。多少の事務所担を切り捨ててでも一般ファンを獲得する戦略に出た結果、デビュー5年でこれほど好調なグループは、After SMAPの世界で初めてなのではないだろうか。

 

今年1月、飯島さんがジャニーズ事務所を退社したらしい。SMAP解散騒動があり、世間でも色々とザワザワしていた。あれほど大きな騒ぎにしなければいけないなんてよっぽどのことだ。確かに不透明な部分はたくさんあるし、真相がすべて明らかになることはほぼないと思っている。しかし、今のところ経済合理性に相反することはなにひとつ起こっていないので、私は事務所に対しては特に心配も怒りもしていない。むしろ、事務所に優秀な弁護士がついていることが確認できてホッとしている。

(それよりも、キスマイを見ていてずっと鬼のように飯島マネ批判をしてきたファンたちはこの一件についてどう思っているかすごく気になるのだが、全く姿を見なくなってしまった。彼女たちはどこへ行ったのだろう。彼女たちの言うこともあながち間違いではなかったと証明されたようなものだと思うのだが…。)

今後、これまであった「派閥」がどうなるのかはわからない。中居くんが司会をしていた大型音楽番組にも変化があるかもしれないし、櫻井くん司会のほうがどうなるのかも、今の段階ではわからない。

 

良いことも悪いこともあるだろうが、なんにせよジャニーズ事務所は「一派」になった。厳しい管理によってタレントを手厚く保護するジャニーズ事務所に、キスマイも2015年3月から引き取られていたらしい。どうりで去年はテレビでの扱いがずいぶん綺麗になったと思っていた。先日のカウコンでは、キスマイも他のグループと一緒にジャニーズファミリーに入った姿を久しぶりに見ることが出来た。

こうした変化によって、これから数年かけて、離れて行ってしまったかつてのファンや、今までファンにならなかった事務所担が流入してくることがあるかもしれない。そういう期待もわずかにありながら、私は数少ない「キスマイ担の事務所担」としてこれからも楽しくジャニオタライフを満喫しようと思う。

 

結論:事務所担が少ないからってキスマイはファンが少ないっていうのは別にそんなことないと思う。

(この間のコンサートで開演前のまだ空席のある客席を撮って「ほらこんなに空席ある!」っていうデマとか結構腹が立ったので…)