この愛を欺けるの

応援スタンスや長文考察や好きなものの分析をするところ

「新規」が嫌われる理由、ファンが増えるということ

WESTの猿コン行ってきました。猿コンって略し方はもうちょっと他になかったのだろうか(笑)。色々レビューしたいこととかもあるんですが、その前に取り急ぎ。

 

前回のパリピポコンから約半年。ジャニーズWESTの客層が、全く変化していた。

前回のジャスミン(ジャニーズWESTではファンのことをこう呼ぶ)の印象は、圧倒的に若年層が多かった。学校からそのまま来たような素朴な子から、若くしてジャニオタを謳歌する子まで、しかし彼女たちはまだどう見ても「少女たち」だった。どこからやってきたファンなのかはわからないが、中学生と思しき若い子が多く、母親を連れて来ている子も見られた。

今回は違った。今年のジャスミンは、明らかに「慣れたジャニオタ」だった。まず前回はすっぴんの中学生もたくさんいたのに、今回来ていた多くのファンは化粧が濃く、服装もとてもお洒落だった。年齢層が上がっただけでは済まないと思う。あちこちから、「別の現場」や「ファンサ」の話が聞こえてきて、今回横浜アリーナは1日3回公演だったため「さっきの公演では~」なんて話もあった。多ステは当たり前のようだ。

こんな大きな変化が起きているなんて、ネットを見ていただけでは気が付かなかった。私の周りには中間担わりと多いのに、コンサートではどこにいるんだろう…ということぐらいしか考えてしなかった。パリピポコンの時の、あの幼い中学生たちはどこへ行ってしまったのか。

 

ジャニーズに新たなファンが増える時、いわゆる「新規」ファンには2種類いる。初めてジャニーズを好きになる「ジャニーズ初心者」と、他のグループから回り回って降りてきた「ヘビーなジャニオタ」である。

「ジャニーズ初心者」の場合、ジャニオタの用語や世界観、ルール、マナーなどがまだわかっておらず(その多くが自治ルールだったりもするので)、既存ファンから嫌われがちである。しかし当の本人にはまだジャニオタという世界をよく知らないし、ミーハー心からアイドルに夢中になっているので、ネットでもそのことを大きな声で主張したりする。こうしたファンが増えると察知しやすい。ああ、新しい子が増えたんだなー、と既存ファンに体感的にわかる。

ところが「ヘビーなジャニオタ」にとって、新たなグループや現場など、取り立てて大きく言うようなことでもない。ネットでのジャニオタとしての振舞い方も良く知っている。恐らく、この半年でジャニーズWESTに増えたファンはこの種類だ。彼女たちは静かに増えていた。だから気が付かなかったのだ。その証拠に、今日の横浜アリーナのあちこちで東京ドームや他の大箱の話を耳に挟んだ。前回のパリピポコンでは、「横アリだと遠い」という会話がたくさん聞かれたというのに。

 

さて、半年前のパリピポコンでコンサートを楽しんでいた中学生、あるいはそれより少し年上だがやはり「普通の」雰囲気を醸し出していた彼女たちは、一体どこへ行ったのだろうか?まさかいなくなったわけではないと思う。たった半年で担降りが続出するような要因は特に見受けられなかったし、ネットで新規ファンと争いが起きたなんて話も今のところ聞かない。

彼女たちは今もいるはずなのだ。しかし会場を見渡してもまったく見つけることが出来なかった。あまりにも、新しいお姉様たちが多すぎるのだ。ほんの半年前、この同じ横浜アリーナでほとんど確認出来なかった人たちが。中には水商売の方なのではないかと見紛うような派手な服装の人も居て、それ自体が悪いわけではないのだが、なんとも言えない気持ちになった。

 

ジャニオタは新規歓迎、同担歓迎、であるべきだと思っている。しかし今回、現実はそんなに甘くないと見せつけられたような気がした。

新たにファンが流入する時、それは元居たファンと同じ人種ではない。全く毛色の違う人間が、突然、しかも大量に流入してくる。もちろんアイドルにとって、お客さんが増えることは経済的にも感情的にも嬉しいことに違いない。だが、前回パリピポコンに来ていた少女たちは今日、一体どうしているのだろうと考えずにはいられない。

コンサートに行くことは、ただ家でテレビを見たりDVDを見たりするのとは訳が違う。現場に足を運び、その文化の中に実際に自分の身を投じなければならない。もし危険に晒される時は、我が身が直に傷を受ける。銀テープの取り合いで引っ掻かれた、なんて話もよく聞く。だからコンサートに行くときは、その文化との「肌合い」も非常に大事になる。

以前からファンだったのだから、むしろそこは彼女たちにとってのホームのはずだ。本来なら新たに入ってきた者が、その肌合いを感じて馴染むべきだ。だが、空気を自ら作り出してしまうほど多くの新参者が現れたとき、残念ながら以前からそこに居た者が、自分たちの肌合いを取り戻す術はない。「新規が嫌い」にはこういった現象が含まれている。ファン全体の「風土」が変わってしまうという事態が。

 

私が行った公演ではメンバーがMCで他のグループの話をいくつかしたが、その中でも特に関ジャニ∞の話に客席がとても反応したように感じた。そう、ここにいるのは関ジャニ∞からの移民なのだ。もちろんジャニーズWEST関ジャニ∞の直属の後輩であり、共演も多いので当然と言えば当然だ。そういう効果を狙って共演させているという面もある。

関ジャニ∞は私の知る限り、ファンが怖いグループではなかった。KAT-TUNとNEWSの間で第三の選択肢を選んだ賢いファン、というような印象だった。それがいつの頃からかマナーがどうのと取沙汰され、ネットでもよく話題に上るようになり、それと比例するように関ジャニ∞は勢力を伸ばしていった。関ジャニ∞が客層を変えたように、ジャニーズWESTも変わっていく運命にあるのだ。それはもう避けられない。

確かにファン層は変わってしまった。もう以前のジャスミンではない。ここが重要なのだが、だからと言って、関ジャニ∞とのセット売りが悪かったとか、ファンが増えなければよかったなんてことにはならない。それではジャニーズWESTは売れない。彼らはこれからその溢れる魅力でたくさんのファンを増やしていくべきなのだ。彼らの類稀なアイドルとしてのクオリティの高さは認められるべきだと思う。

客が増える、それに伴って客層が変わる。それはグループの成長にとって非常に良いことだ。そこには、以前から応援して下支えした古いファンが、新たなファンに押しやられるという現象がある。これはもう、どんなに否定しようが批判しようが「ある」。今後自分の応援するグループが飛躍していくためには、この否応ない現象を受け入れるより他に無い。

 

ええじゃないか。新規流入、客層変化ええじゃないか。ジャスミンよ、案ずることはない。私たちには最強の猛獣使い・中間淳太がついているのだから。

彼は「モラルのない子は嫌い」とハッキリ述べ、「大人で英語がわからない人は勉強し直したほうがいい」と言い、自分のファンに聡明さや常識を求める。彼の発言は計算し尽されている。ファンを教育し誘導していこうという確かな意思があり、あくまでも主体はアイドルたる自分たちであることを崩さない姿勢は、やがてジャニーズWESTにとって非常に重要な指針になるような気がしてならない。どんなにファンが増えても、応援しているアイドルは同じ。アイドル自身が指針として機能すれば、やがて統率が執れるようになる。客層は変わる。だからこそ猛獣使いが必要なのだ。

中間くんのソロ曲では鞭を振るい、自分がこの場の支配者であることをパフォーマンスで明確に示してきた。そんな「調教師中間淳太」に、ジャニーズWESTの未来が託されていることはとても頼もしい。WESTは安心してファンになれるグループだ。その安心感につられて、たくさんの流入があったことも頷ける。彼らはこれから大きくなるに違いない。