この愛を欺けるの

応援スタンスや長文考察や好きなものの分析をするところ

「声を上げる」ことは「意思表示」ではない

Twitterやってると、こんな超弱小アカウントでも色々なRTが流れてきて、ちょっと検索さえかければもう強豪ツイッタラー(?)と同程度の情報を入手することができる。なんて便利なのだろう。

そこでRTされてくる情報には、現場レポやグッズの写真など事実のみを掲載したものもあるのだが、そこに呟いた人の感想が一言添えられていることが多い。その感想部分で、最近(なのか以前からなのかわからないが、)「~~と主張することが大事だと思った。」というものが多くなっている気がする。

もちろん正しく理解している人もいると思うのだが、彼女(ジャニオタなので女性と仮定する)たちの言う「主張」が、「声を上げること」「宣言すること」を指すことが多い。アンケートに答える、リクエストハガキを送る、あるいは本当にTwitterなどで「言う」だけの場合もある。

 

結論から言うと、ファン=消費者である私たちにできる「主張」は、「金を使う/使わないという選択」ただひとつだ。特に、ネットで叫ぶなんてことはまったくもって主張にはならない。

ファンはただの消費者じゃない!と仰る方もいるかもいれないが、友達でもマネージャーでも事務所の社員でもない。私たちファンは「商品を買う人」である。彼らアイドルはある意味でアイドルという商品の生産者であり、私たちは消費者だ。

消費者も十人十色。FC加入者と未加入者、お茶の間の人もいるばコンサート全ステするというツワモノもいる。当然、需要も細かく見れば全員同じではない。もっとTVで見たい人、もっとコンサートをやってほしい人、カッコいい曲が好きな人、明るくかわいい曲が好きな人。

たくさんの需要がひしめく中で、事務所やレコード会社が一体どうやって商品のスタイルを決めるのかというと、過去の売り上げ実績と、未来の売り上げ予想に他ならない。こういう商品が売れたから、次も似たものが売れるだろうとか。次は同じものでは飽きられるだろうとか、新たな客層が増えたから新しいものが良いだろう、とか。これがマーケティングだ。

もしも新たに出た商品が、今後続けてほしくない形態のものだったとしたら、一番有効な意思表示の方法は「買わない」ことだ。皆がそのように行動し、その商品が売れなかったとしたら、会社は必ずなぜ売れなかったのか、理由を分析して次の商品に生かす。むしろ、気に入らない商品なのに文句を言いながら惰性で買うことのほうが、商品を需要と合致しないものにしてしまう行動なのだ。

 

他の消費者と意思が合致しなかったら?

自分が好きでない商品なので買わなかった。しかしその商品は売れた、という場合。他の多くの消費者はその商品を好んだ。その場合、この商品のこんなところが悪い!良くない!と制作者側に伝えることは、残念ながら大変難しい。いくらTwitterやハガキやメールで言っても、結果としてその商品に需要があるのに、供給を止めることは考えにくい。

それは、不満を持っている人がいるとしても、売れる商品を売り続けなければ商売として成り立たないからだ。そもそも民間のやっている商売は、国の行政とは訳が違う。気に入らない消費者には売る義務もないし、どんな商品を発売しようと法に触れなければ自由である。誰にも不快感を与えない商品でなくてはいけない、なんて法律はない。不満を持つ誰かが少数ならば、切り捨てられてしまうのは仕方がない。

そのことを残念に思い、個人的に残念だと発言することはもちろん罪ではない。だが、そのことをいくら製作者側に向けて「主張」しても、それは全く意思表示にはならない。改善されることもないだろう。

 

Twitterで1万RT。これは多数意見?

答えはNO。ジャニーズのグループがターゲットにしているファンとは、FC加入者+未加入だがCD等商品を買う人+今はお茶の間だがやがて買う未来のファン の総計だ。グループにもよるが、その数は何十万・何百万人という単位になる。仮にTwitterで1万人が賛同しても、FC加入者が10万人いたとしたら、そのたった10分の1。未加入者やお茶の間も含めれば更に割合は小さくなる。

外見上多くの人が賛同したように見えるかもしれないが、それはあくまでも「ジャニーズのファンとしてTwitterにアカウントを持ち、他者と交流している」という「ごく一部の特殊な」ファンの行動に過ぎない。更に言えば、TwitterのRT数=同意の数、というわけではない。引用RTして批判したり、深く考えずRTする人、自動RTする仕組みの無人アカウントもいる。

ネットは、暗いところに光を当てるツールだ。少数意見に簡単にフォーカスすることができる。人権・生命・安全に関わるような重大なことは、少数意見だからと言って見過ごしてはいけない。そういった問題提起にネットを利用することは非常に有用だし、公共の利益にも合致する。

しかし、少数意見を皆に知らしめることに長けたツールを用いたからといって、少数意見が多数意見になるわけではない。マーケティングにおいて、いちいち少数意見に耳を傾けていては商売ができない。多数意見を無視してまで声の大きい少数意見に迎合しなければいけないような商品は、やがて廃れて淘汰されてしまう。新規顧客の開拓に失敗した事業は立ち行かなくなってしまうだろう。

 

結局何が言いたいのかというと

ジャニオタの最もやるべきことは、欲しいものを買い、要らないものは買わないこと。自担の仕事応援はジャニオタ最大のおしごと!と以前の記事で書いたんだけども、商品をより良くするために必要なのは、許容範囲を下回った商品を「買わない」という「意思表示」だと思う。

この2つは矛盾しているようだけれど、そんなことはない。基本的には応援しつつも、どうしても許せない事、こんなことが続くようであれば担降りも辞さないとなった事があった場合だけは、黙って買わないという意思表示をすればいい。ネットで下手に話題にすると、話題性が上がって、戦略として有効だったと判断されかねない。炎上商法なんて言葉があるくらいで、ネットでそのことを取り上げられるのは、それだけで宣伝効果があるものなのだ。

消費者の多くがそうした購買行動をすれば、多数の消費者が許せなかったことについては改善される、という仕組みが出来上がる。Sexy Zoneの3人・2人分裂問題、キスマイの格差問題なんかは、買わない意思表示によって対処すべきだと思う。(制作者側も馬鹿じゃないので、売り上げが下がるのは承知でJr.担に買わせようとしてたりする。それでも既存ファンが買わない意思表示をすれば、Jr.担の分も含めて売り上げが変わらなかったら、以前買った人が買っていないことは伝わる。向こうもプロなので、そのぐらいの市場の動きは売り上げから読み取れるはずだ。)

テレビ番組でも同じ。つまらない、良くないと感じたら、その場でチャンネルを変えてしまえばいい。Twitterでその番組について呟くなんて、それがどんな文句や不満だろうが、見てますよ!需要ありますよ!と言っているのと変わらない。

 

そして、自分だけが許せなくて買わない、ということが続けば、これは事実上の担降りである。何も悩むことはない。キラキラ輝く素敵なアイドルを求めて、別の商品に手を伸ばせば良いのだ。そうして需要のある方へと金が回っていくことこそ、資本主義なのだから。